どこの誰ともつかない変態女子大生が集英社オンラインの記事で急上昇してんだってよ!!!
https://shueisha.online/entertainment/110332
ということでおじさん大量発生中のこちらの記事でサラッと取り上げた「変態文学」5選。
北大で変態と文学を学んでる変態文学大学生がさらに詳しくオススメしてきます。
あなたに合った変態文学ファーストステップを踏めますヨ!
○生殖を超えた、純粋な官能『暗室』
まずは私が勝手に結婚してしまった吉行淳之介の『暗室』でしょう。
私は、「生命の根源!性!」とかそういうことが言いたいわけじゃないんですよ。
どっちかっていうと本当の官能は、生殖から切り離されたところにあるんじゃないかなあと思っています。
そんなことをあちこちでいうもんで気味悪がられていた時に出会ってしまったのがこの本。
中でも『暗室』は、ひとりの男が複数の女性と「遊戯的」な男女関係を持つことによって、性を観察する話。
レズビアン的関係を重ねる女性に対しての
美しい女同士が抱き合うのは、官能の世界に生きることだ。そこには、受胎も家庭生活もなく、あるのは官能の揺らめきだけである。
吉行淳之介『暗室』
という言葉に恐ろしく感激しました。
生殖のためでない性行為って、いちばん純粋な官能かもしれない。
まあ全ての人が官能を求めてはないんでしょうけど、少なくとも「変態」という言葉の本質に、「官能」は深く関わっていると思うのです。
○特級呪物の言葉の官能『老妓抄』
いやあ〜変態文学に岡本かの子は絶対外せないでしょう。
なんてったってあの岡本太郎の母。
夫と愛人(かの子の)との謎すぎる3人暮らしなど、私生活もスキャンダラスで変態的ですが、やはり文章がものすごい。
『老妓抄』、まず名前の時点で多くの人が挫折しそうです。
例に漏れず私もずっと未読だったのですが・・・
例のごとくオジ様に教えてもらって読んだら凄まじい。
人生経験豊富な元芸妓のおばあさまを巡るお話なのですが、言葉に卒倒する。
未成熟(なま)の娘の心身から、利かん気を僅かに絞り出す、病鶏のささ身ほどの肉感的な匂いが、柚木には妙に感覚にこたえて、思わず肺の底へ息を吸わした。
岡本かの子『老妓抄』
とか、エロ動画が18禁なのにこれが全年齢対象なんて・・・と思わせてくる、まさに「変態文学」。
言葉が染み込んで脳みそが溶けていく感覚をご堪能ください。
○世界トップレベルの変態文学『千羽鶴』
インタビューでも話しましたが、いちばん「こりゃだめだ・・・」と思う変態は川端康成です。
没後50周年のドデカ展示もわざわざ神奈川まで行って見ましたが、やっぱり「こりゃだめだ・・・」と思いました(好き)(褒め)(大好き)
『眠れる美女』『みずうみ』が変態として有名ですし、もちろん読んで「びっくりするほど変態だ・・・」と愕然としましたが、あえて『千羽鶴』。
ロリコン、腕フェチ、ストーカー気質・・・
と変態要素を上げればキリがない康成ィですが、『千羽鶴』は血を巡る執着がおそろしいです。
死んだ愛人の口紅が染み込んだ茶碗を見て
吐きそうな不潔と、よろめくような誘惑を、同時に感じた。
川端康成『千羽鶴』
の言葉には、文学としての美しさと、愛欲のおぞましいまでの執着が煮詰められているように思えます。
しかもこれ、ノーベル賞受賞対象作なんですよ。
これくらい変態的な感覚がないと、ノーベル賞なんてとれないってことですかねえ・・・と大阪の画廊やってるオジ様とこの前話してました。。。
○「ゾッとする」の二面性をもつ性『骨餓身峠死人葛』
『火垂るの墓』の野坂昭之のとんでもない劇薬小説です。
「性」って、気持ち悪いじゃないですか。滑稽だし、グロテスクだし。
でも、美しさも孕んでいる。
そういう「性」の二面性をあわせもつ作品だと思っています。
「血肉たぐりよせて、美しか花の咲くじゃろうけん。」
野坂昭如『骨餓身峠死人葛』
というように、「死人葛」と呼ばれる、死人の血を吸って咲く美しい花を巡る村社会の話です。
村社会のもつ不気味、老いてなお性に執着する不気味・・・様々に登場する不気味が、反転して美しいさをも際立たせます。
美しさの前に、「性」においても「生」においても、倫理も分別もないんだ、と「わかって」しまうのがあまりにも読者に危険なんですよね。
ちょっと読みづらさはあると思いますが、絶対に外せない作品です。
○「生」の謳歌としての「性」『背徳の聖女』
これは私が永遠にツイッターで言ってるやつですね。
これまでの四作品と違って、完全な官能小説で、ガンガン直接的な性描写が出てくるのですが、
そんなこと関係なく、人生のバイブルになってる一作です。
わたしはただ一つの目的のために、次々にドアを開く。
リーラ・セフタリ『背徳の聖女』小鷹信光訳
これが全く、わたしなんです。
わたしたち人間は、目的のためにはどんなことも躊躇してはいけないと思うんです。
変態文学っていうのは、消費的なその場限りの「性欲」処理の道具じゃない。
そうじゃなくて、どんな人間も逃れられない「性」という概念を通して、「生」を謳歌するヒントをくれるものだと、この小説に教えられました。
絶対読んでほしい。
というかこの「富士見ロマン文庫」は大概そういう消費的じゃない官能小説を出しているので、大いに読んでほしいです。
絶版なんで中古でしか手に入りませんが、それも一興。
終わりに
ということで、オススメ変態文学5選を詳しめに紹介していきました!
もっと変態文学に興味がある人はこっちの記事も❤︎
吉行ゆきのの「ジャンル別変態文学11選!」
https://hentaibungaku.com/hentai-novel/
それでは!