【性春AV批評】エピローグ~文化人のアダルトビデオ鑑賞とは

【性春AV批評】エピローグ~文化人のアダルトビデオ鑑賞とは

世界一のアダルト大国、日本。

日本のAVの生産数は年間3万5000本を超えると言われており、1100本近い作品がリリースされている。
このペースで作品を世の中に送り出し、世界中の人々を魅了し続けているのはなぜか。

それはずばり「コンテンツ力」にある。

このコラムは独自の分析、主観に基づいたものであり、事実と異なる誤った記述がある可能性があります。あくまで読み物としてお楽しみください。
(もちろんご意見ご指摘についてはどしどし受け付けておりますので、是非)
ちなみに全裸監督は見ていません。

モザイクが成長させたアダルトビデオ

日本では現在、局部へのモザイク処理が義務付けられているが、一般的なプライオリティを考えれば、無修正>モザイクとなるはずなのに、日本のAVがここまで世界中で人気なのは、「企画モノ」が実によく出来ているからだ。

円で着衣部分を覆うと裸に見えるというライフハック

世の中の「あったらいいな」や「タブー」を映像化することにおいて、群を抜いている。

日本のAVは「見えない」代わりに「魅せる」ことで勝負することにしたのである。(ドヤァ

ちなみにアダルトビデオの歴史については異常なまでにうまくWikipediaに書かれているので、一読されるといい。

文化人としてのAV観賞

開放的なリビングで見るAVは格別だ

さて、星の数ほどあるアダルトビデオの中で、あなたは全編スキップせずにAVを鑑賞したことはあるだろうか?

監督がいかにヌケるシチュエーションを作るか頭を捻って作り上げた作品を、あなたは早送りして飛ばし、プロセスや目的も分からない絡みシーンを見つけては股間を握りしめる。

まるで猿ではないか。

このコラムでは、「作品」としてのAV批評とともに研究・考察を重ね、文化人としてのAVの楽しみ方を啓蒙していくとともに、最終的にはオリジナルの企画モノの制作を目指していきたい。

AVのフォーマットは時代とともに変化していく

今回は本企画のエピローグとして、AVをスキップしてしまう「ショートカッター」について言及していこう。

ショートカッターのAV視聴モチベーション

もちろん筆者も全てのAVをフル尺で見ているわけではなく、冒頭の数分で見るか見ないかのジャッジをすることにしている。(はや15年)

ここで言うショートカッターは「冒頭を見ない輩」のことを指す。

AVを早送りしてしまう理由は主に以下の通りである。

  • 動画視聴の利便性の向上
  • 作品価値の低下
  • 時間短縮
  • 配信フォーマットの問題
  • ストーリーへの興味薄

① 動画視聴の利便性の向上

AVをスキップするようになったのは今に始まったことではない。

かつて、早送りスピードの遅いVHSでは、目当てのシーンを探すのに時間を多く費やしたものである。
送り過ぎ、戻し過ぎが多発し、オナニーが円滑にできなかった。

イライラという感情はオナニーには不要だ

DVDの時代に入って、メインメニューからチャプターごとで鑑賞できるようになり、早送りスピードも向上、高速送り状態でも画面を見ながら操作ができるようになった。

PC上でデータとして再生したり、ウェブ上でのプレイヤー再生がメインの現在では、瞬時に自分の見たいシーンにスキップできるようになり、見たいところだけ見るが当たり前になった。

しかし、気軽に見れるようになったからと言って、あなたは映画をクライマックスシーンまで飛ばしたりはしないだろう。

あくまで原因の1つである。


② 作品価値の低下

ビデオレンタル屋で「おれは何も恥ずかしくないんだぞ」と何食わぬ顔の「フリ」をしながら店員にAVを差し出さなくてはならなかったのはとうの昔。

試聴もせずジャケットだけでレンタルしてきたVHSが全部ハズレだった時の絶望感、どうにかしてフィニッシュにふさわしいシーンを探すというバカバカしいことはもうしなくて良くなった。

追い込まれた時ほど力を発揮することができる

今やネット上で誰の目も気にせず好きな作品をいつでも鑑賞することができるし、違法アップロードも歯止めが効かず、アダルトコンテンツに金を掛けた事のない人は大勢いるであろう。

そのため「つまらなそう」と判断したらすぐに次の動画、次の動画、、と1日100本近い動画に触れる事もざらである。

1回の射精にかけるAV本数が爆発的に増えた
=AV1本の価値がガクッと低下した
=ほんの数秒間でそのAVを捨ててもコストがかからない

という事である。


③ 時間短縮

ここまで読んできたあなたは一回のオナニーでどれくらいの時間をかけているだろうか?

前述した通り、オナネタはネット上に無数に存在しており、納得のいかないシーンで終焉を迎えることはほぼないと言って良い。

しかるべき作品にたどり着くまでの時間こそがオナニーにおける前戯であり、見つけたら発射をするという一連の流れが、近年のネットポルノ時代におけるオナニーフォーマットの典型となっているのではなかろうか。

その中で一作品を通しで鑑賞するという行為は射精というコンバージョンへのストレートなスキームから一旦離脱しなくてはならず、非効率的である。

しかし、文化人は、一度高まった感情をリセットした上で、じっくりと一本を嗜む。

それが本来のAV鑑賞の美徳である。


④ 配信フォーマットの問題

年末のTV番組で良くある、名シーン特集的なパッケージ作品は昔から多く存在している。

一本の企画モノから切り取った10分に満たない短編動画の集合体がメーカーから発売されていること自体が現代のAV鑑賞のあり方を映す鏡なのかもしれない。

プレ●テージでは企画一本一本をネット上で単品販売し、人気のあったものをまとめてパッケージ化するという方策が取られており、コストの掛かるDVDを制作する前にマーケットに刺さる作品の選別をおこなっている。

今も昔もプレステージは私たちに大きな影響を与えて続けている

これがフックとなり、視聴者がネット上の作品を購入するとすれば、非常に理にかなっているものの、大半がノンカットの存在すら認知されずに楽しまれていると思われる。


⑤ ストーリーへの興味薄

前戯を一切必要としないあんたにかける言葉はない。一生底辺でマスかいてろ。


このように様々な理由で、AVの飛ばし見が発生しているわけだ。

次世代へとつなぐ企画モノAV

次世代にしっかりと継承していかなければならない

私はこのような視聴態度に対して警鐘をならしたい。

ただでさえパッケージが売れずに厳しくなっているAVメーカーが、企画モノを10年、20年と継続して作っていくことは難しいかもしれない。

予算が圧縮され、大胆さが失われてしまうかもしれない。

日本の誇る企画モノを後世に遺したい。

そんな想いを込め、次回から厳選した企画モノAVをご紹介していこうと思う。

それでは。